作業着を家庭用洗濯機で洗う際のコツを解説
専門職で使用する作業着は、特殊な汚れが大量に付着するため、使用後の作業着をそのまま洗濯機に入れてお洗濯すると、洗濯機に負担がかかり劣化や故障の原因になってしまいます。
極端なことを言えば、1着ずつじっくりと時間を掛けて、手洗いでしっかりと汚れを落とすのが理想的ですが、毎日そんな手間も時間も掛けることができないという方がほとんどだと思います。
このページでは、洗濯機に負担をかけずに作業着をキレイにするための、方法やコツをご紹介します。
- 目次
- 作業着を洗うと家庭用洗濯機が壊れるってホント?
- 家庭用洗濯機を使いたくない作業着の汚れ
- 作業着を家庭用洗濯機で洗う際のコツ【事前準備編】
- 作業着を家庭用洗濯機で洗う際のコツ【工夫編】
- 作業着を洗った洗濯槽をケアする
- 家庭用洗濯機を使わずに作業着をきれいにする方法
- まとめ
作業着を洗うと家庭用洗濯機が壊れるってホント?
使用後の作業着を家庭用洗濯機で洗うと、洗濯機の劣化が早まり、故障の原因となる場合があります。
作業着は名前の通り、作業を行う際に着用する衣服です。主に専門的な業務を行う職員が、作業の際に汚れが付着することを想定して着用する衣服で、普段の生活の中ではめったに付着しない、頑固でしつこい特殊な汚れが大量に付着します。
毎日お仕事で着用する作業着に、頑固でしつこい汚れが大量に付着する度に、洗濯機を使って繰り返しお洗濯すれば、しつこい汚れが洗濯槽に残り、嫌な臭いの原因にもなります。これを毎日繰り返すことで洗濯機に負荷がかかり、洗浄力が低下したり、故障しやすくなるのです。
家庭用洗濯機を使いたくない作業着の汚れ
職種によって作業着に付着する汚れは様々ですが、その中でも特に以下の汚れが付着した作業着は、直接洗濯機に放り込んで使用することは避けた方が無難です。
具体的にどのような汚れが、洗濯機にどう影響するのかということを中心にご紹介していこうと思います。
油汚れ
機械を製作したり、整備する際に使用する機械油などで汚れた作業着を家庭用洗濯機で洗うと、洗濯機が傷んで壊れる可能性が高くなります。
家庭用洗濯機はそもそも、大量の油の処理を想定した作りにはなっていないので、少量の油が付着した衣類を稀にお洗濯するのであればともかく、大量の油汚れが付着した作業着を頻繁にお洗濯するとなると、洗濯機が故障する原因となります。
また、油汚れに交じって、ガソリン・灯油などが付着した作業着を洗濯機に入れると、火災・爆発が起こる危険性もあるので、洗濯機は使用せずに、手洗いすることを推奨します。
鉄サビ汚れ
作業着に付着した鉄サビの汚れも、家庭用洗濯機が壊れる原因になる場合があります。
そもそもが、洗濯機は基本的に作業着のサビ汚れには対応しておらず、サビ汚れが洗濯機内の丸盤を腐食させたり、樹脂やステンレスを傷め、劣化させる恐れがあります。
サビ汚れは酸化した鉄が作業着の表面に付着してしまい発生するため、まずは酸性の液体などを使用して布地からサビを引き剥がしてから、洗濯機で洗うようにしましょう。
泥汚れ
泥や砂も布製品の洗濯をするための家庭用洗濯機にはふさわしくない異物です。作業着などの衣類に付着した泥や砂がホースや洗濯機パーツに詰まり、故障に繋がることもあります。
泥汚れが付着した作業着や衣類は、乾いた状態で手でパンパンとはたき、できるだけ土や砂を落とします。それでも泥汚れが残っている場合は、液体洗剤を泥汚れの部分に直接塗布し、5分程度放置した後に洗濯機でお洗濯します。
尚、洗濯機でお洗濯する前に水洗いをするのはNGです。泥汚れが付着した作業着や衣類を水洗いすると、泥が水と一緒に繊維の中に入り込んで、かえって汚れが落ちにくくなってしまいます。
作業着を家庭用洗濯機で洗う際のコツ【事前準備編】
ここまで、家庭用洗濯機で作業着をお洗濯することのリスクを中心にご紹介してきたので、「家庭用洗濯機を使った作業着のお洗濯は絶対にNG」と思われた方も多いと思いますが、しっかりとした手順を踏んで、事前準備を行えば洗濯機に負担をかけずにご家庭でも作業着をお洗濯することができます。
ここからは、ご家庭で作業着をお洗濯するための事前準備の方法やコツを中心にご紹介していこうと思います。
ブラッシグで汚れを落としておく
使用後の作業着に、鉄粉・鉄サビ・泥・砂などの水分が少ない汚れが付着している場合は、洗濯機に入れる前にまずは洋服ブラシや洗濯ブラシなどでブラッシングをして、付着している汚れをできるだけ落としてからお洗濯しましょう。
お洗濯の前にブラッシングをすることで、汚れやゴミを取り払うことができるので、洗濯機パーツやホースの詰まりや故障リスクを軽減することができます。
尚、ブラッシングをする際はなるべく家の外で行うようにしましょう。やむを得ず室内でブラッシングをする場合はゴミ箱の上などで行うのがオススメです。気付かないうちにブラッシングで取り除いた汚れやゴミが、周囲に散乱してしまっている可能性もあるので、ブラッシング後は念のため周囲を掃除機がけしておくと安心です。
手もみ洗いをしておく
すぐに落とせたり、逆に汚れが集中している箇所は、事前に洗濯用固形せっけんや中性洗剤などを使って手もみ洗いをしておくことを推奨します。
洗濯機を使ったお洗濯で汚れが落ちやすくなるだけではなく、ブラッシングと同様に汚れやゴミを取り払うことができるので、洗濯機パーツやホースの詰まりや故障リスクを軽減することができます。
ただし、洗濯用固形せっけんや中性洗剤などを使用せずに水洗いで済ませてしまうと、泥汚れの様に泥が水と一緒に繊維の中に入り込んで、かえって汚れが落ちにくくなってしまう場合もあるので、注意が必要です。
50度以上のお湯に漬け置きしておく
油汚れや泥汚れが付着した作業着は、洗濯機でお洗濯する前に、お湯に浸け置きしておくのがオススメです。
シンクを使用する場合は約60~70度、洗濯機の場合は約40度程度のお湯に液体や粉末の洗剤と漂白剤を溶かして、約2時間ほど浸け置きします。
※液体洗剤と粉末洗剤では、一般的に粉末洗剤の方が洗浄力は強いとされています。
お洗濯の前に浸け置きをしておけば、事前にある程度の汚れを落とすことができるので、その後に洗濯機でお洗濯すれば、汚れがより一層キレイに落ちるだけではなく、泥などのゴミや汚れがホースや洗濯機パーツに詰まり、故障するリスクを軽減できます。
汚れに合った洗剤で予洗いしておく
家庭用洗濯機でお洗濯をする前に、作業着の汚れに合った洗剤を使用して予洗いしておくことを推奨します。
作業着の汚れはしつこく、普通の家庭用洗剤ではなかなか汚れが落ちないので、汚れの種類に合った作業着専用の洗剤を使用するのがオススメです。作業着自体の汚れが良く落ちるだけでなく、洗濯機に汚れが付着しにくくなるので、故障の原因を抑えることもできます。
油汚れ・皮脂汚れ・泥汚れには、それぞれ以下の洗剤と相性が良いと言われています。
- 油汚れ、皮脂汚れ:アルカリ性洗剤(セスキ炭酸ソーダ)、食器用洗剤
- 泥汚れ:漂白剤
- 皮脂汚れ:酸性洗剤(クエン酸)、酸素系漂白剤(液体)、重曹など
作業着を家庭用洗濯機で洗う際のコツ【工夫編】
ここまでご紹介してきた、事前準備をしっかりと行ったうえで、ご家庭で作業着をより一層キレイにお洗濯したいとお考えの方へ向けて、誰にでも簡単に出来る、ほんの少し工夫するだけで仕上がりが変わるオススメの技をご紹介しようと思います。
洗濯ボールを入れてみる
作業着を家庭用洗濯機で洗う前の準備を済ませた後、洗濯機で作業着をよりキレイに洗いたいという方には、洗濯ボールの活用もオススメです。
100均などで手軽に入手できる洗濯ボールは、洗濯槽に入れて一緒にお洗濯するだけで、様々な嬉しい効果をえることができます。
■洗濯ボールの効果&メリット
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- 汚れが落ちやすくなる
- 洗濯槽の中で衣類とボールがぶつかり合い、揉み洗いのような効果が発生し、こびり付いた汚れが落ちやすくなります。同時に洗濯槽の中でボールがバウンドすることで、洗濯機の水の流れが良くなり、それによって洗剤も隅々まで行き渡るようになります。衣類の汚れ具合にもよりますが、少ない洗剤、もしくは洗剤なしでも衣類の汚れを落とすくらい洗浄力を高めてくれる商品も存在します。
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- 洗濯物の絡まりを防ぐ
- 洗濯ボールがバウンドすることで、衣類と衣類の間に空間が生まれ、洗濯物同士が絡まるのを防ぎます。それによって洗浄力をアップさせたり、衣類にシワが付きにくくなるという効果を得ることができます。また、衣類同士の絡まりを抑制することで、余計な摩擦を軽減し、生地を傷つきから防ぐという効果も生まれます。
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- 糸くずやゴミがつきにくくなる
- 洗濯ボールを使用することで、洗濯槽の中の衣類を分散させ、衣類に糸くずやゴミを付きにくくするという効果もあります。洗濯ボールの素材によっては、糸くずやゴミ、髪の毛などを絡み取る役割を果たす商品もあります。
■洗濯ボールの種類
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- ゴム製
- ラバーや樹脂素材のゴム製洗濯ボールは弾力があり、衣類の絡み防止に効果を発揮します。絡まりを解消すれば、洗濯後に衣類をほどく手間が省けるだけでなく、洗浄力も高まります。
※樹脂は熱に弱いため、乾燥機にはかけないようにご注意ください。
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- スポンジ製
- ポリウレタンなどの素材でできている洗濯ボールは、繊維がホコリや糸くずを取り除く効果を発揮します。スポンジは髪の毛やペットの毛を絡み取るので、衣類についている猫や犬の毛をキレイに取り除くことが可能です。スポンジの目が細かい商品を選ぶことで、より効果的に髪の毛やゴミなどを絡め取ることができます。スポンジ製洗濯ボールは、他のタイプと比べ柔らかくふんわりしているため、衣類へ与えるダメージが少ないのも強みです。
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- セラミック製
- 洗濯ボールの中にセラミックが入った製品は、洗浄力が高いのが特長です。衣類同士の絡まりを抑制するのはもちろん、アルカリイオン水を生成するセラミックは、油汚れにも優れた洗浄力を発揮します。更に、アルカリイオン水の洗浄力は、洗濯槽についているカビや汚れなどを取り除く効果もあります。衣類も洗濯機も長持ちさせたいという方には、セラミックが入った洗濯ボールがオススメです。
■洗濯ボールを使用する際の注意点
洗濯ボールを使用する際は、商品に付属している取り扱い説明書をしっかり読み、以下の点に注意しながら正しく使用するようにしましょう。
- 洗濯機に入れるボールの個数は洗濯物の量に合わせて調整する
- 洗濯機にボールを入れるタイミングをしっかり確認する
お湯で洗う
作業着の汚れをしっかり落としたいという方にはお湯を使ったお洗濯もオススメです。
温度が高いお湯は、衣類に付着した皮脂汚れを浮かせ、繊維の奥までしっかりと洗剤を浸透させて汚れを落とします。
お湯と言っても熱すぎる熱湯だと、かえって衣類の繊維を傷めてボロボロにしてしまうので、お洗濯に最適と言われている約50度くらいのお湯を使用するようにしましょう。
尚、お風呂の残り湯を使用する場合は、洗いの時のみ使用するようにして、すすぎの時には使用しないように気を付けましょう。お風呂の残り湯には雑菌が含まれているので、生乾き臭の原因となってしまうこともあります。
すすぎの回数を増やす
すすぎの回数を増やすことで、衣類についた洗剤をしっかり洗い流し、汚れや糸くずなどを洗い流すことができます。
洗剤には洗浄成分や化学物質が含まれているので、敏感肌などで肌が弱い人は肌がかゆくなったり荒れたりする可能性もあるので、すすぎの回数を増やすようにしましょう。
早めに乾かす
お洗濯後は衣類のシワをしっかり伸ばして、素早く乾かしましょう。
洗ったまま放置しておくとシワがついて生乾き臭が発生したり、生地が傷む原因にもなります。
生地が厚かったり、乾きにくい素材の作業着は、パワフルで殺菌作用も高いコインランドリーの乾燥機を使うのもおすすめです。ふんわりとした仕上がりで着心地がよくなります。
- 【要注意!!】
- ※乾燥機を使用する際は、衣類に付いている洗濯表示をしっかりとチェックして、乾燥機使用の可否をしっかりとチェックしましょう。 ※油汚れを洗った作業着は乾燥機を使わず、自然乾燥させましょう。油汚れが完全に落ちきっていない場合、乾燥機の熱で引火し事故が発生するため、非常に危険です。
作業着を洗った洗濯槽をケアする
作業着・一般着にかかわらず、洗濯機の性能を保つには、定期的な洗濯槽のケアが重要です。
特に汚れが激しい作業着をお洗濯したあとは、洗濯槽も汚れているはずなので、しっかりとケアすることを推奨します。
お店やネットショップで販売している洗濯槽専用の洗剤などを活用して、手順に従いお掃除してください。その際には排水トラップや排水口内も併せてお掃除するようにしましょう。
自分で掃除するだけでは汚れが残っている気がして不安という方や、長年の汚れが蓄積している場合などは、プロの業者さんに依頼するのも一つの手です。プロならではの技術とノウハウでしっかりクリーニングしてくれるはずです。
家庭用洗濯機を使わずに作業着をきれいにする方法
ここまでは、家庭用洗濯機で作業着を洗う際のコツや注意点を紹介してきましたが、やはり自宅の家庭用洗濯機で上手く洗えるかどうか心配という方は以下の方法でも作業着をキレイにお洗濯することができるので、色々と試してみてもらえればと思います。
別の小型洗濯機で洗う
近年、なにかと話題の小型洗濯機(簡易洗濯機)を作業着専用の洗濯機として導入するのも一つの方法です。
全自動洗濯機よりもコンパクトで、最低限のお洗濯機能を備え、ミニ洗濯機やポータブル洗濯機とも呼ばれています。泥やオイルなど酷い汚れ専用の第二の洗濯機としての地位を確立しています。
各商品によって、洗浄力・脱水力・容量などの特徴も様々なので、お洗濯したい作業着をしっかり洗うことができるかということを確認して商品を選ぶようにしましょう。
コインランドリーで洗う
まず初めに言及したいのは、汚れがひどい作業着をそのままコインランドリーで洗うことは不可能なケースがほとんどだということです。
家庭用洗濯機と同様に、洗濯槽が過度に汚れてしまったり、故障の原因になる他、次に使う人の洗濯物が汚れてしまい大問題になる可能性もあります。そのため利用規約に油・泥汚れ等のついた洗濯物は使用不可としているお店がほとんどです。
それでも、どうしてもコインランドリーで作業着を洗いたいという方は、トラブルが発生したり、迷惑がかからないように、前の項目で言及した『作業着を家庭用洗濯機で洗う際のコツ【事前準備編】』内の前処理を入念に行ったうえでコインランドリーを使用するようにしてください。
やむを得ない場合を除き、基本的にはコインランドリーで作業着をお洗濯することは推奨しません。
クリーニングに出す
金銭的な負担は断トツですが、クリーニングに出して、お洗濯のプロに任せるという手段は、作業着を的確な方法で確実にキレイにするという意味では最適なのかもしれません。
各お店や業者さんによって、サービスの内容や料金も異なりますので、詳細は各クリーニングサービスを行っているお店や業者さんのホームページなどで直接ご確認ください。
まとめ
ご家庭で作業着をお洗濯するには、いくつか注意点はありますが、してはいけないことと、大丈夫なことをしっかりと見極めて行えば誰でも作業着をお洗濯することはできます。
しっかりとケアをしながら使えば長持ちする、高品質なオリジナル作業着の製作をキラメックでは随時承っておりますので、いつでもお気軽にお問い合わせ下さい。